桑田山

 須崎市北部に鎮座する須崎で一番高い山。須崎市民はその山の方を差して「桑田山(そうだやま)」と呼ぶが、それは山の名前ではなく、山の中腹付近の地区名である。なんでも弘法大師が桃の花が咲き乱れた里を見て「桃の花に染(そ)んだ山」と嘆賞したことから「桑田山」と名付けられたそう。そして、肝心のその山の名は「蟠蛇森(ばんだがもり)」という。
 山なのに森と名の付くこの山は、春は雪割桜でピンク色に染まり、夏は雨雲の傘をかぶり、秋は紅葉に彩られ、冬は雪でほんのり白くなることも。どこからこの山が良く見えるのかとあちこち行ったり、人に聞いたりしてみたが、結局のところ、「自分たちがいつも見ている様子が一番良いところ」という返答に収まった。それだけ、蟠蛇森は身近で馴染み深い山なのだ。
 昔は山頂まで歩いて遠足がポピュラーだったそう。今でも山登りができるので、愛好家の方々がよく訪れている。高さ769メートルの山頂から見下ろせば、眼下には須崎の街が一望。その先には須崎湾や野見湾、太平洋まで一気に見渡せる。
 ところで、「蟠蛇森」は蛇がわだかまる(蟠る)と書くのだが、「蟠る」とは蛇がとぐろを巻いている様子という意味がある。とぐろを巻いた蛇の森とはなんともおどろおどろしい名前だが、その名の通り、この山には昔大蛇が住んでおり、美女に化けては里の人々を惑わしたという伝説があるそうだ。桑田山近辺には昔蛇穴と呼ばれる底なし穴があったそうだし、蛇塚と呼ばれるものもあるそうだ。近年になっても、工事に来ていた数人の作業員が丸太だと思って担いだら大きな蛇だったという噂もあったそうだ。
 いろいろな顔を見せる蟠蛇森だが、麓には弘法大師が開いたという温泉もある。昔話に思いを馳せて、ゆっくり山に癒やされるのもまた一興ですよ。
文:笹岡敦子

雪割桜

 2月中旬~3月中旬頃に、濃い桃色の美しい花をつけます。雪割桜は正式にはツバキカンザクラ(椿寒桜)と言いまして、2月のまだ雪のある頃に咲くことから、雪割桜と地元の人々に親しまれています。桑田山の雪割桜はシナミザクラとカンザクラの交配種で、70年ほど前に松山市から分けてもらい、台木に接ぎ木したと言われています。

 山全体には1,000本近くの雪割桜の木があり、満開に咲き誇る雪割桜を一目見ようと多くの見物客が訪れます。見ごろになると、おでんやちらし寿しなどの出店もあります。水洗トイレも整備されているので、安心してゆっくりと過ごせます。

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